「株式会社」という言い方は聞いた事があると思います。
株とは、株式会社が資金を調達するために発行するものです。

 

なにか商売をする時には、たいていの場合、ある程度の元手資金が必要になります。例えば八百屋さんを開こうとしたら、売るための野菜をどこかから仕入れてこなければなりませんし、お店を建てるための土地も必要です。お店の内装として、棚なども整備する必要が出てきます。
この元手資金を集めるための方法として考えられたのが、株です。

株は、商売のためのお金を集める手段

ここからは、株の本質を説明するために例え話(必ずしも正確な説明ではありません)をします。

 

魚釣りが好きで、魚を捌くことが大好きなAさんは、魚屋さんを新しく開こうと思い立ちました。お店には生け簀を備えて、一風変わったお店にしたいと考えましたが、そのような設備を作るのに800万円くらいかかりそうです。

 

Aさんには先立つ資金がありませんでした。でも、借金をするのはイヤです。そこで、お金を出してくれそうな友人達に、一人100万円の出資をお願いします。これは借金ではなく出資なので、Aさんは友人にお金を返す必要はありません。その代わり、商売の利益の50%を、出資してくれた全員で頭割りして分配する約束をしました。

 

幸いにして、Aさんの商売がきっと上手く行くと思った人が10人も集まり、1人100万円ずつ、合計1000万円の資金がAさんに集まりました。これで立派な生け簀を備えたお店を構え、商売を始める事ができます。

 

Aさんは、お金を出してくれた人に証明書を発行する事にしました。これが「株券」です。株券を持っている人には、毎年、Aさんの商売の利益の50%が分配される事になります。この、株券を持っている人達が「株主」です。

株主はなにが嬉しいの?

さて、Aさんの魚屋さんは大繁盛して、一年目にして400万円の利益を上げることができました。
株主には、利益の50%、つまり200万円を分配する約束でした。株主は10人いるので、一人当たり20万円の利益が分配される事になります。この分配されたお金が、「配当」です。

 

さらに二年目、Aさんの魚屋さんはますます評判となり、600万円の利益をあげる事ができました。そうなると、一人当たりの配当は 600万x50%÷10=30万円 となります。

 

さてさて、Bさんは、最初に100万円出資した株主の中の一人です。すでに2年間で50万円の配当を得ています。そのBさんのところに、「魚屋さんの株を150万円で売って欲しい」とCさんがやってきました。

 

Cさんは、「Aさんの商売は上手く行っているので、今後ますます配当が上がるに違いない」と考えているので、最初の株の値段100万円よりも高く、150万円で株を欲しいと言いました。Bさんは「もともと100万円で買ったものだから150万円で売っても儲かるし、ちょうど今買いたい新車があるんだよね」という事で、株を売ることにしました。
今後、配当はCさんが受け取ることになります。Bさんは、配当の20万円+30万円、さらに株の値上がり利益50万円をゲットすることができました。

 

このように、株を買って株主になると、

  • 配当による利益
  • 株価の値上がりによる利益

を得る事ができます。(ただし、あくまでもAさんの商売が上手く行けば、のお話です)

株は、損する事もある

これまでのAさんの例は、商売が上手くいったケースですが、商売がうまくいかず、利益が出ないケースもありえます。「利益の50%を配当として分配する」約束でしたから、利益が出ない場合、株主は配当を受け取ることができません。

 

そして、基本的に株は「買いたい」という人がいなければ、売ることはできません。また、借金ではないので、Aさんに元手を保証してもらう事もできません。最悪のケースでは、最初に100万円を払ったにも関わらず、配当は全く入ってこないわ、株を売ることもできない、つまりまるまる100万円の損、という事もあり得るわけです。いやー、踏んだり蹴ったりですね^^

 

しかし裏を返すと、株主が損をするのは最大でも最初に出資した100万円までです。それ以上損をすることはありません。これは「株主有限責任の原則」と言い、会社法にも明記されています。この有限責任というのは、株の大きなメリットです。

 

もともと、株式という仕組みができたのは大航海時代に遡ります。大航海時代、ヨーロッパから中東・インドへの航海は、香辛料をはじめとして莫大な利益が上がるものでした。しかし、航海にはとても大きなお金がかかりますし、命の危険すら伴います。航海者達は、まずお金を集めなくてはなりませんが、当時のお金持ち達も、リスクの高い遠洋航海にはなかなか大金を出すことはできません。でも儲かりそうだし・・・できれば手を出したい。そんな葛藤の中で生まれたのが株式という仕組みと言われます。
株主という形であれば、少額からでも遠洋航海に参加できますし、一つの船に集中投資するよりも、少しずつ複数の船に投資した方が成功の確率が高まりそうです。(そうです、分散投資の原型ですね)

 

ビジネス・商売というものはどうしてもリスクを伴うものです。ノーリスクで儲かるなら、だれでもやるでしょう?株式は、出資者にとってのリスクを抑えつつ、かつ精力的な起業家が新しいビジネスを起こすための画期的な仕組み…と捉えることもできるのです。

 

注記
なお、株には「信用取引」や「空売り」と言った「借金をして投資する」方法があります。これは、理論上は有限責任と言えません(初期投資額以上のリスクを負います)。
これらは、経験豊富な方がメリットとデメリットを充分に理解して行うべき取引ですので、初心者の方にはおススメできません。

初めての人に聞かれたQ&A

私が実際に「株式とか初めて」という人に聞かれた質問を書いてみます。

Q1:株って、どこで売ってるの?

A1:株を買うためには、証券会社に口座を開く必要があります。口座を開くだけなら無料の会社が多いです。会社によって、手数料や提供されるサービスが異なります。ちなみに、私はマネックス証券とSBI証券を使っています。

 

Q2:株式会社なら、どの会社の株も買えるの?

A2:いいえ。株式市場に「上場」している会社の株しか、一般的には買うことができません。実際に株の売買が行われるのは証券取引所と呼ばれるところなのですが、会社の株を上場するためには、その証券取引所の厳しい基準をクリアする必要があります。
なお、上場には大きなメリットがありますがデメリットもあるため、誰もが知っているような大企業でも上場していない会社があります。サントリーとか小学館は上場していません。

 

Q3:でも、大企業の株って高いんでしょ?

A3:いいえ。大企業の株価が必ずしも高い、とは限りません。時価総額(発行している株価の合計)は、大企業の方が高い場合が多いですが、発行している株の総数は会社によって異なるため、大企業でもたくさんの株を発行していたら、1株当たりの価格は安くなります。

 

Q4:株って、いくらから買えるの?

A4:会社によって異なります。購入できる最小の株数(単元株数と言います)が会社によって決まっているためです。株価×単元株数が購入できる最小単位になります。
また、証券会社によってはミニ株という、単元株数以下で売買できる仕組みがあったりします。

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