投資は手段であって、目的ではない

いざ投資を始めた時に、大損をするパターンで一番多いのが「欲張りすぎ」です。リターン(投資による利益)だけを追い求め、FXや信用取引といったハイリスクなものに集中投資した結果、大損を被る・・・
はい、私の20代がそうでした。

 

投資を始めたいと言う人に、「投資でいくら儲けたいんですか?」と聞いてみたら、「多ければ多いほど良い」という答えが多いと思います。実際に聞いた訳じゃないですけど。

 

でも、投資は、さらに言えばお金というものは、人生を豊かにするための手段であって、人生の目的そのものではありません。
ほとんどのサラリーマン(本業のある人)にとっては、ライフイベントの適切なタイミングに、ある程度余裕を持てるとか、不安を抱かないで済むとか、そういうレベルの+αを、なるべく少ないリスクでゲットするというのが現実的ではないでしょうか。

 

もちろん、ハイリスク・ハイリターンの仕組みを熟知してそれにチャレンジするとか、純粋な投資活動だけで生活を成り立たせるプロ投資家を目指すとか、そういう事を否定する意図は全くありません。

 

でも、もし投資というお金稼ぎが、相場から一瞬たりとも目を離せないようなプレッシャーになったり、イライラ・ストレスの元になったり、生活に必要なお金まで失うような事になってしまったりしたら、本末転倒であると私は思います。

 

必要な事は、何のために投資をするのかを自分が認識する事です。
例えば、エクセルで自分や家族の年齢を表にして、ライフイベントを入れてみたら、今の給料でいつどのくらいのお金が不足するのかを知ることができます。例えば、「このくらいあればもうワンランク上の車が買えるな」とか「子供を私立に入れる事ができるな」とか「この辺が記念日なので海外旅行行きたい」とか、ある程度具体的に目標が見えて来ます。

 

投資は手段です。だからこそ、なんのために投資するのかという「目的」を設定してあげる必要があります。逆に言えば、もし目的がないのであれば、投資などしなくても良いのです。

お金にも、働いてもらう

ライフイベントを考えて、「今の給料だとちょっと足りないな〜」とか「もう少しあったらこういう贅沢ができるんだけどな〜」とかいうケースが出てきます。さて、その場合にどうやって+αを稼ぐのか。

 

もちろん、もっと働いて給料を上げるという方法がありますが、投資・資産運用という方法もあります。

 

一般的にお金持ちというのは、投資をする事によって、自分が働かなくてもますますお金持ちになります。それは、お金自体が働いてくれるからです。ちょっと前に話題になった、トマ・ピケティという人の「21世紀の資本」が数字的にも証明しています。

 

銀行に定期預金で預けておいても、お金は十分働いてはくれません。
でも、お金を起業家に預けて商売してもらったら、それは何倍にもなって帰ってくるかもしれません。(ゼロになるかもしれませんが)
お金を土地に変えて駐車場にしたら、首都圏では結構な稼ぎになりそうですね。

 

株式とか投資信託というものは、このようなお金持ちがやっている事を、もう少し簡単に真似できる仕組みなのです。これらを上手に使う事によって、お金を働かせ、新しいお金をつれて来てもらうという事が可能になります。


投資にはリスクがある。投資しなくてもリスクはある

投資にはリスクがあります。例えばある会社の株を50万円で買った時、その会社の業績が伸びれば、「60万円で買いたい」という人が出てきて得をするかもしれませんが、逆にその会社の業績がふるわず、40万円でしか売れなくなってしまうかもしれません。

 

投資にはリスクがありますが、見方によっては、投資していなくても常にリスクはあります。

 

例えば、全ての資産を日本の銀行に円で定期預金している場合。
これはもの凄く堅実に見えますね。
でもこの場合、もし円安が進行したら、世界水準での購買力は下がります。ガソリンを始めとして、色々な輸入物の値段が上がるでしょう。
また、もしインフレが進行して物価が上がったら、100万円の貯金が80万円分の価値しかない、貯金の目減りという事が起こりえます。

 

しかも、定期預金は「お金が働いてお金をつれてくる」可能性を奪っています。
・・・そんな可能性は小さいだろうって? いいえ、投資によるリターンの期待値はプラスです。

 

あと、日本人の多くが住宅ローンで新築の家やマンションを買っていますが、これは投資という観点で見れば、非常にリスクの高い行為です。(買うなとは言っていません)

大切な事は、必要以上に恐れない事

投資してもしなくても、どうせリスクはあります。
住宅ローンは平気で使うのに、株式投資等を必要以上に恐れる人は多いです。

 

なぜ恐れるのか?「良く分からないから」ではないでしょうか?
良く分からないものは、過大評価されたり過小評価されます。
投資に関わるリスクも同様です。

 

特に日本人は、お金や投資、資産運用についてあまり考えないと言われます。なんとなく、お金について語るのは卑しいという文化もあります。
でも時には「そもそもお金っていったい何なの?」とか考えてみること、私は必要だと思います。お金について知れば知るほど、経済的な不安は小さくなっていくと思います。不安のない人生って、楽しそうじゃないですか?

リスクコントロールしよう

投資は手段ですが、手段が多ければ、リスクをコントロールしやすくなります。自分の目的に応じて、リスクを低くしたり高くしてハイリターンをねらったりできるのです。

 

リスクを低める方法(リターン減)

投資の基本に「タマゴは同じカゴに入れない」と言うのがあります。
これがリスクを低くする手段の王道、分散投資です。
あなたがたくさんタマゴを持っているとします。全てのタマゴを同じカゴに入れておいたら、もしそのカゴを落としたりした場合、全てのタマゴがいっぺんに割れてしまうかも知れません。でも、複数のカゴに少しづつ分けて入れておいたら、もし一つカゴを落としたとしても、その他のカゴに影響はでません。損害が少なくて済みます。
これがいわゆる分散投資で、一つの銘柄に全財産を突っ込んでおくと、万が一の時にひどい目にあいますよ、という格言です。
例えばその昔、東京電力の株は高配当が期待できる超安定銘柄でしたが、財産のほとんどを東京電力につぎ込んでいて、福島第一原発の事故で大変な目にあった個人投資家もいらっしゃったそうです。世の中、何が起きるのかは分からないのです。

 

さきほど、定期預金にも円安やインフレのリスクがあるよ、という話をしました。定期預金というのは、見方を変えると、「円」というカゴに全てのタマゴを盛っているとみなす事もできるのです。
ということは、投資先のカゴを増やす事で、リスクを小さくすることができるんですね。
円安のリスクは、海外資産に投資をすることで小さくできます。国内の輸出企業の株を買っておくのもいいですね。
インフレのリスクは、有価証券(株や投資信託等)や海外投資、不動産や金やプラチナ等への投資で小さくできます。

 

「どうして銀行預金よりも投資の方がリスクが低いんだよ!騙してるんじゃないのか!?」と思われるかもしれませんが、これはモノの見方の問題です。
「手持ちの円の総量が減る」ことをリスクとみなす場合、最もリスクが少ないのは銀行預金やタンス預金で円を所有し、株式などには一切手を出さない事です。
私の説明は「手持ちの(円も含めた)資産の実質的な価値が減る」ことをリスクとみなしています。

 

リターンを高める方法(リスク増)

リターンを高める王道的な手段は、集中投資レバレッジです。
集中投資はわかりやすいですね。「これぞ!」という投資先に全力投球する事です。
2000年代初頭には「700万円で買ったヤフー株が1億円になった」とか景気の良い話を聞いた事があります。アベノミクスによる株高でも、3倍4倍になった銘柄はいくつもありますね。こういうところに大金をつぎ込んでいたら…ワクワクしますね!もしかしたら、タマゴが全部割れてしまうかもしれませんが!

 

もう一つの代表的な手段は、レバレッジ(てこの原理)です。
平たく言うと、借金して投資することです。
例えば、200円の株が2か月後に300円になったとします。元手資金が200万円とします。簡単のために手数料や税金は抜きにして考えます。

 

ケース@
Aさんは200万円で200円の株を1万株買いました。株価が300円になったので、買った1万株を全て売り、300万円を手に入れました。儲けは100万円です。

 

ケースA
Bさんは200万円を担保として2000万円を借り、これで10万株を買いました。株価が300円になったので、買った10万株を全て売り、3000万円を手に入れました。借金の金利を払っても、儲けは900万円以上です。

 

上記のAさんとBさんは、どちらも同じ200万円の元手資金を持っていましたが、Bさんは10倍のレバレッジを効かせる事によって、より大きな儲けを得ることができました、というお話です。説明のために10倍という大きな倍率にしましたが、例えば株式の信用取引という仕組みや、FXの保証金という仕組みは、基本的にはこのようなレバレッジを使う事なのです。

 

お分かりかと思いますが、上記のような手段でリターンを高めようとすると、必然的にリスクは上がります。ハイリスク・ハイリターンの原則です。もし、ローリスク・ハイリターンの話をあなたに持ちかける人がいたら、まずは詐欺の可能性を疑ってください。

サラリーマンが取るべき投資戦略とは?

サラリーマンは本業の収入が別にあるのだから、基本的にリスクは大きくしない方が良いと思います。(よっぽど自信がある方は別として)レバレッジはかけない方が良いと思いますよマジで。
さてこの、定期的な収入(本業)があるという事は、投資をする上でこの上ない「強み」です。

 

定期的な収入(本業)があるという事は、それがない専業投資家(プロ投資家)に比べ、次のアドバンテージがあります。

 

  • 勝ち続ける必要がない
  • 短期で結果を求められる事がない
  • 精神的にも安定できる

 

勝ち続ける必要がない

「勝ち続ける」ことは、「勝つ」ことよりもはるかに難しいです。専業投資家は、勝たないと収入が無くなってしまうので、常に勝ち続ける必要がありますが、サラリーマン投資家にはその縛りがありません。
相場の格言にこういう言葉があります「売るべし、買うべし、休むべし」売り買いだけではなく、時には休み、一歩引いて状況を見極める必要を言っています。勝ち続ける必要が無ければ、安心して「休む」ことができます。ほとんど休んでて、勝てる時だけ勝負してもよいのです。

 

短期で結果を求められる事がない

プロの投資家は、決められた期間に結果を出すことが多くありますが、サラリーマン投資家にはそんな事はありません。これも大きなアドバンテージです。

 

「株の理想の保有期間は"永遠"だ」
世界最強の投資家と呼ばれる、ウォーレン・バフェットの名言です。
投資の最大の味方は、時間です。

 

例えば100万円を、年間5%の利益で運用するとします。
1年後には105万円ですが、その次の年には110万と2500円。
10年たつと162万と8895円です。
15年で2倍の200万円を超え、20年で265万と3298円になります。
※運用で得た利益は再投資して、複利効果(利子にも利子がつく)があるものとして計算しています。

 

基本的に、投資は長い時間をかける方が有利です。
投資を始める時期は、若ければ若いほど良いと思われます。若ければ多少失敗しても、取り返しはつきます。若い時にはそれなりのリスクをとってリターンの見込める投資をし、年をとったら少しずつ安全策に切り替えるというのも良いのではないでしょうか。

投資を楽しもう

株は上がったり下がったりします。為替相場も、円高になったり円安になったりします。これは健全な経済の脈動というべきで、いちいち一喜一憂していたら心がもちません。

 

一喜一憂どころか、場合によっては、ずーっと憂いているばかりの人もいます。
テレビのニュースキャスターのコメントを聞いていると、円安になっても円高になってもネガティブな発言。株が上がった時ですら、なんか嬉しそうじゃなかったりしているように感じますが気のせいでしょうか。

 

経済を知って、投資とかやっていると、経済の脈動にわくわくしてきます。
表にまとめるとこんな感じ。

 

経済の変化

深刻なニュースキャスター

楽しむ投資家

円高になりました

円高で輸出企業が大打撃を受けています。ほとんど輸出で稼いでいる日本経済がピンチです! 円高で海外資産がお買い得!アメリカ企業の株でも買っとくか♪

円安になりました

円安のため輸入品の値段が高騰しています。食べ物やガソリンも値上がりして庶民の生活に大打撃です。国の借金が多すぎるのが問題です!

輸出企業の株が上がったので利益確定しとくか!
ドル建ての投資信託が値上がりしてる!ちょっとだけ売っとこう♪

株価が上がりました

株価が上がっているみたいですが、私たち一般の国民には関係ないですね。むしろ格差が広がっている日本社会が心配です…

ヒャッハー!
利益確定ウマウマ!

株価が下がりました

株が下がってますヤバイです!
年金とか保険商品とかは株で運用されているので、私たち一般の国民も大打撃です!政治が悪いです!

仕込み時だね♪株主優待の美味しいあの銘柄買っとくか。

テレビの論調は恣意的に書いてますが、ホントにこういうニュアンスの発言を聞いた事があります。誇張はしてても嘘じゃないです(笑

 

為替相場も株価も、上がったり下がったりするのは当然です。その事実をどうとらえて、どう利用するかは個人の自由です。

好きな会社の株を買えばいいじゃないか

最初の投資は、株か投資信託が良いと思いますが、日本国内の東証1部上場企業だけでも2000社くらいありますので、どの会社の株を買えばいいのか、迷いますよね。
そんな時は、難しい経営指標の分析とかはとりあえずおいといて、自分が好きな会社の株を買うのが一番だと思います。
その会社の製品を良く使っているとか、経営姿勢が素晴らしいとか、とりあえずファンになったつもりで買うんです。
割高な時期もあるので、買うタイミングには注意が必要ですが、もし値下がりしても、ファンだから気にしない程度の余裕でいきましょう。
自分が気に入っている製品ならば、他にも気に入っている人はいると期待できる訳で、そういう会社は長い目で見て伸びる可能性が高いのではないでしょうか。

 

私が最近買った株は、近所のよく使うスーパーを経営している会社とか、環境問題に積極的に取り組んでいる会社とか、そんなきっかけで買ったものですが、割と値上がりしています。
少し昔に買った株も、株主優待狙いのマクドナルド株が40%以上のプラスですし、毎年社長が年賀状くれるのでつい持ち続けていた会社の株は、7年で2.5倍になりました。
好きな会社の株を買えば、間接的にせよその会社の経営に関わっている事になり、社員ともつながる感覚を覚える事ができます。「ワシが出資している会社」って呼んでも、ぜんぜん嘘ではないのです。口に出しては言わない方がいいと思いますが(^^

ちなみに、私(マタスー)のやり方は…

私の今の投資スタイルは、リスクをなるべく小さくする事に主眼をおいています。もちろん大きく儲ける事はできませんが、安定して本業の年収の2〜3割程度の利益を出せています。また「全てを定期預金で貯金するよりも、遙かにリスクは低い」と自負しています。
日本の会社に勤め、日本円で給料をもらっているので、分散投資の原則に則って、ポートフォリオは海外投資が中心です。

 

給料の一定部分を必ず投資に回し、個別銘柄の株取引で種銭をちょこちょこ増やします。
株主優待が美味しい銘柄や、好きな会社の株は持ち続けますが、あまりにも高くなった時には我慢できずに笑顔で売ってしまいます。感謝の気持ちは忘れません。

 

増やした種銭でドルコスト平均法でちょっとずつインデックスファンドを買っていきます。インデックスファンドはグローバルに、先進国と新興国のバランスをとりながら、REITも織り交ぜつつポートフォリオを形成します。(専門用語は順次ブログで説明したいと思います)

 

私のライフプランに照らして考えると、今のやり方が最適だと考えていますが、それはあくまで私の場合です。
何度も言うようで恐縮ですが、どのような投資スタイルを取るべきかは、その人の人生設計と目標次第なので、私のやり方が誰にとってもベストとは限りません。
プロ投資家にしてみたら、あまりにも効率の悪いやり方かもしれません。

 

ただ、私はスゴク楽しんでいます。
誰にも、自分に合った楽しいやり方があるんじゃないかと思います。

 

良かったら、ブログも覗いてみてください。

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